【ジャカルタ時事】インドネシア・スラウェシ島の北方にあるルアン山(725メートル)の爆発的な噴火から17日で1カ月。4月30日にも2度目の大規模噴火があり、政府が周辺に住む約300世帯に移住を促すなど、事態は深刻だ。
 ルアン山は、インドネシア中央部に位置するスラウェシ島とフィリピンのミンダナオ島の間に浮かぶ火山島・ルアン島にある。火山警報は4月17日の噴火と同30日の再噴火でそれぞれレベルが「3」から最高の「4」に引き上げられるなど、断続的に活発な活動が続く。
 隣のタグランダン島も、南西部沿岸はルアン山山頂から4キロほどしか離れておらず、多大な影響を受けている。少なくとも両島の住民6000人以上が、自宅に戻るめども立たないまま島外で避難生活を送る。
 一方、この最初の噴火に際しては、日本の気象庁の津波情報がインドネシアの噴火情報より先行したが、実際に津波が日本やインドネシアの沿岸部に到達することはなかった。インドネシアの別の火山の噴火に際しても、気象庁の情報が先行したケースは2022年と23年にも1度ずつあったが、いずれも津波は確認されなかった。
 気象庁が積極的に注意を呼び掛ける背景には、22年1月に南太平洋のトンガで海底火山が大噴火し、日本の沿岸に津波が到達した際、津波警報・注意報が遅れたことがある。その後速報態勢を強化していた。
 ただ、インドネシアは国土が広い上に常に複数の火山が噴火していることもあり、ジャカルタ在住の日本人からは「気象庁の津波情報が出るたびに日本の友人らが心配してくれるが、困惑している」との声が上がっている。 
〔写真説明〕噴火するルアン山=4月30日、インドネシア・スラウェシ島北方(同国国家災害対策庁提供・時事)
〔写真説明〕噴火が続くルアン山=4日、インドネシア・スラウェシ島北方(同国国家災害対策庁提供・時事)

(ニュース提供元:時事通信社)